
半導体製造装置の精密な温度管理、データセンターの液浸冷却、そして電子部品の信頼性試験。
これら過酷な条件下での熱媒体や試験用途には、主に2種類の完全フッ素化液体が使用されてきました。
ひとつが3M™フロリナート™に代表されるPFC(パーフルオロカーボン)。
それと双璧をなす存在であるのがソルベイ社の「ガルデン®シリーズ」に代表されるPFPE(パーフルオロポリエーテル)です。
Solvay社ガルデン®シリーズに代表される
完全フッ素化液体「PFPE(パーフルオロポリエーテル)」について詳しく解説します。
しかし今、このフッ素系不活性液体市場は、大きな問題を抱えています。
一つは、PFC製品群がメーカーの生産終了や環境規制強化に直面していること。
そしてもう一つは、その代替品として注目されるPFPEでさえも生産量が限られ入手が困難になっているという供給面の課題です。
ここからは、ソルベイ社の「ガルデン®」を代表とするPFPEに焦点を当て、その基礎知識から特徴、弊社互換品のラインナップまで詳しく解説します。
供給量の限られているガルデン® HT-55の互換品に!
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約55℃
供給量の限られているガルデン® HT-135の互換品に!
アサヒクリンAC-6000の代替にもご検討いただけます。
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約135℃
供給量の限られているガルデン® HT-170の互換品に!
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約170℃
ガルデン®(PFPE)ってなに?:特徴とメリットを解説!
ガルデン®(PFPE)の構造
ガルデン®が持つ幅広い温度特性と安定性を理解する鍵は、その主成分であるPFPE(パーフルオロポリエーテル)の化学構造にあります。

PFPE(Per Fluoro Poly Ether)とは、PFCと同じく完全に(per)フッ素(F)化された炭素を基本としながら、その炭素の鎖の間に酸素(O)がエーテル結合(-O-)として組み込まれているのが最大の特徴です。

パーフルオロの骨格の間に、エーテル(-O-)が繰り返し(poly)たくさん入っている、とイメージすると分かりやすいね!
この分子構造の最大のポイントは、炭素とフッ素の結合(C-F結合)が、有機化学の中で最も強い結合の一つであることです。
この強力な結合エネルギーに加え、原子の中でも特に大きいフッ素原子が炭素の骨格を隙間なくガードしています。
この「フッ素の盾(シールド)」が外部からの化学的な攻撃を一切受け付けません。
この極めて堅牢な化学構造のおかげで、化学的・物理的に非常に高い安定性を誇ります。
PFCにはないユニークな特性
PFCと大きく異なるのは、骨格にエーテル結合(-O-)を持つ点です。
この酸素原子が、まるで鎖の蝶番(ちょうつがい)のように機能することで、分子全体が非常にしなやかな動きをすることが可能になります。
この「分子のしなやかさ」こそが、PFPEが持つ以下のユニークな特性の源泉となっているのです。
PFPE(パーフルオロポリエーテル)の特徴
ガルデン®(PFPE)はPFCと多くの優れた特徴を共有しつつ、その独自の分子構造からくるさらにユニークな長所をあわせ持ちます。
ここでは、その特性を「物理・化学」「環境」「安全」「国内外の法規制」の順に見ていきましょう。
ガルデン®(PFPE)の主な用途

ガルデン®(PFPE)は、高い化学安定性や電気絶縁性に加え、PFCを上回る広い液体温度範囲と優れた熱安定性を備えており、厳しい温度条件が求められる用途で強みを発揮します。
熱輸送、電子部品の信頼性・電気試験、溶剤・希釈剤など、幅広い産業用途で使用されており、特に極低温から高温までの幅広い温度領域に対応できる点が大きな特長です。
ここでは、ガルデン®の代表的な用途を3つに分けて紹介します。
弊社ではこれらの用途に対応する代替品について、多数の採用実績がございます。
ガルデン®シリーズ主要製品とその動向
PFPE(パーフルオロポリエーテル)には様々な種類がありますが、その中でもソルベイ社の「ガルデン®」は、長年にわたり市場を代表する製品群として高い信頼を得てきました。
しかし、3M社のフッ素化学品事業からの撤退発表以降、PFCからの代替需要がPFPE市場に集中し状況は一変しました。
もともとPFPEは製造メーカーが限られており、その生産能力にも限りがあるため、急激な需要増に供給が全く追いついていないのが現状です。
その結果、ガルデン®は世界的に入手困難な状況に陥っており、新規の顧客はもちろん、既存のユーザーでさえも安定的な調達が難しいという深刻な事態となっています。
こうした状況から、ユーザーにとっては単に製品の性能だけでなく「どのサプライヤーから、いかに安定的に調達するか」が事業継続のための最重要課題となっています。
以下に、代表的なガルデン®製品とその性能に準拠した弊社互換製品PFシリーズの比較をご紹介します。
| ガルデン® シリーズ | 主成分 (代表的な化学物質) |
沸点 | 比重 (25℃) |
弊社互換製品 (PFPE) |
|---|---|---|---|---|
| ガルデン® HT-55 | パーフルオロポリエーテル(PFPE) | 約55℃ | 1.65 | PF-55 |
| ガルデン® HT-135 | パーフルオロポリエーテル(PFPE) | 約135℃ | 1.72 | PF-135 |
| ガルデン® HT-170 | パーフルオロポリエーテル(PFPE) | 約170℃ | 1.77 | PF-170 |
ご採用の前に必ずご確認ください 本製品をご採用いただく前には、必ずお客様の責任において実際の使用条件(装置、プロセス、温度など)での適合性評価を実施してください。特に、性能・安全性・各種部材との適合性(金属腐食、樹脂・ゴムへの影響など)に問題がないことを十分にご確認いただけますよう、お願い申し上げます。
ガルデン®互換製品と弊社の強み:PFシリーズ

供給量の限られているガルデン® HT-55の互換品に!
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約55℃
供給量の限られているガルデン® HT-135の互換品に!
アサヒクリンAC-6000の代替にもご検討いただけます。
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約135℃
供給量の限られているガルデン® HT-170の互換品に!
主成分: パーフルオロポリエーテル
引火点: なし
沸点: 約170℃
弊社ガルデン®互換製品の強み
弊社のガルデン®互換製品「PFシリーズ」には、お客様に安心してご選定いただける3つの具体的な強みがあります。
品質へのこだわり
「高純度=高品質」とは限らない!
メーカーの知見と分析力を駆使し、真に高品質な製品をお届けします。
- 用途に影響する微量不純物も徹底把握
- 真に「高品質」な製品づくりにこだわり
安定供給と少量提供
国内外の独自ネットワークを活かし、お客様の必要量に応じた安定供給体制を整えています。
- 無駄のない少量注文にも対応
- 研究開発やテストラインにも最適
国内完結の技術サポート
課題を丁寧にヒアリングし、導入から運用まで、国内メーカーならではの伴走型サポートを提供します。
- 用途に合わせた最適な製品選定
- ご採用後のトラブルシューティング
PFPEからHFEへ:環境にやさしい次世代のフッ素系液体

これまで、高い性能が求められる高性能なPFPE製品をご紹介してきました。
しかし、用途によっては別の選択肢も存在します。
それが、「HFE(ハイドロフルオロエーテル)」への置き換えです。
HFEとは、3M™社のNovec™シリーズで広く知られるようになった、PFCの環境性能、特にGWP(地球温暖化係数)を大幅に低減することを目的に開発されたフッ素系液体です。
どのような用途でHFEへの置き換えが可能か?
ただし全てのPFPE用途をHFEでカバーできるわけではありません。
PFCが持つ極めて高いレベルの熱的・化学的安定性が必要な、過酷な条件下での熱媒体や信頼性試験などには、引き続きPFCやPFPEが適しています。
一方で、以下のような用途ではPFPEからHFEへの置き換えが有効な選択肢となります。
- 精密洗浄・リンス用途
- 穏やかな温度条件下での熱媒体
- 各種コーティング剤の溶剤・希釈剤
これらの用途では、HFEが持つ適度な溶解性や低いGWPといったメリットがPFCを上回る価値を提供する場合があります。
まとめ
本記事では、「ガルデン®」を代表とするPFPE(パーフルオロポリエーテル)の優れた特性と、現在の市場が直面する世界的な供給難について詳しくご紹介しました。
PFPEは、その卓越した熱安定性と広い液体温度範囲から、PFCと双璧をなす高性能液体として不可欠な存在です。
しかし、PFCの生産終了に加え、その主要な代替品であるPFPEも入手困難という状況は多くのユーザーにとって深刻な課題となっています。
この変化は、単に製品の性能を比較するだけでなく、「いかに安定した供給ルートを確保するか」という、サプライチェーン戦略を見直す重要な転換点であると私たちは考えています。
貴社の安定稼働を支える、2つのご提案
弊社ではこの困難な市場環境に対応するため、お客様の状況に合わせた解決策をご用意しております。
-
1高性能が求められる用途に:PFPE「PFシリーズ」
ガルデン®シリーズの互換品として高い性能を維持しつつ、安定供給・少量からの提供を実現します。
熱媒体や信頼性試験など事業の根幹を担う用途でお使いだが、入手にお困りのお客様へ。 -
2環境負荷低減・コストを重視するなら:HFE「HFE-7000シリーズ」
GWP(地球温暖化係数)を大幅に低減した、環境配慮型の選択肢です。PFPEほどの高性能が不要な用途では、より安価で入手しやすいHFEが最適な場合があります。
このようなお悩みはありませんか?
- ガルデン®やPFPE製品を探しているが、供給不安や入手困難で困っている。
- フロリナート™(FC-40, FC-3283など)の生産終了で、信頼できる代替品を探している。
- 電子部品の熱衝撃試験やリークテストの品質を、今後も維持・向上させたい。
- 専門的な技術サポートを受けながら、最適な選定したい。
弊社はお客様一人ひとりが直面する課題を丁寧に伺い、PFPEとHFE、両方の選択肢の中から豊富な製品知識と技術力をもって最適な一滴をご提案いたします。
製品に関する詳細情報、ご質問、お見積りのご依頼等はお気軽に当オンラインストアまでお問い合わせください。
本日もご覧いただき、誠にありがとうございました!




