2026/07/15

法令情報

特化則の代替検討|対象物質のリスクとは?非該当溶剤へ切り替えるメリット

「今使っている溶剤を、 特化則 (特定化学物質障害予防規則)の規制にかからないものに代替できないか検討して」

そう上司から言われたものの、

「そもそも今の溶剤に、どんなリスクがあるの…?」と困っていませんか?

製造現場・購買担当の方にとって、化学物質の法規制は専門用語が多く、「代替検討」と言われても何から手をつければいいのか分かりにくいものです。

上司に「特化則にかからない溶剤を探して」と言われたけど、何がリスクなのかピンとこない

今の溶剤を使い続けた場合と、切り替えた場合で何が変わるのか比較できない

対策すれば使い続けられるのか、それとも切り替えたほうがいいのか判断がつかない

この記事では…

特化則の対象物質を使い続けることにどんなリスクがあるのかを整理したうえで、

対象外(非該当)の溶剤へ切り替えることでどんなメリットが得られるのかを解説します。

この記事をお読みいただくことで、特化則の対象物質を使い続けることにどんなリスクがあるのか、その基礎知識と、非該当溶剤へ切り替える際の判断ポイントがわかります。

さらに、上司から「代替検討」を指示されたものの何から手をつければよいか分からない…というお悩みに対し、「対策を積み上げて使い続ける」か「切り替えて対策自体を不要にする」かを比較検討するための考え方もあわせてご紹介します。

特化則への対応は継続的なコストと手間がかかるものですが、本記事が代替検討を進めるうえでのヒントとなり、リスクの少ない安定した溶剤選定を実現する手助けとなれば幸いです。


臭素系洗浄剤のスタンダード品!

主成分: 1-ブロモプロパン

引火点: なし

 沸点: 約71℃


塩素系、臭素系に並ぶ高い洗浄力を持つ強力フッ素系洗浄剤

主成分: trans-1,2-ジクロロエチレンとHFE系溶剤

引火点: なし

沸点: 約47℃


リスクアセスメント非該当の人・環境・管理に優しい、次世代フッ素系洗浄剤

主成分: HFO系溶剤

引火点: なし

沸点: 約39℃

特化則の対象物質を使い続けることの3つのリスク

上司からの「代替検討」の指示の背景には、今の溶剤を使い続けることに関する、次の3つのリスクがあります。

① 健康リスク

対象物質は、がん・皮膚炎・神経障害などの健康障害につながるおそれがあるとして、法律で管理が義務付けられている物質です。事故のようにその場でケガをするわけではなく、何年も経ってから症状が現れることがあるため、対策が不十分だと被害に気づいたときには手遅れというケースも起こり得ます。

② 労災リスク

万が一、健康障害が労災と認定された場合、治療・補償対応に加え、原因究明や再発防止のための追加対応が発生し、会社にとって大きな負担となります。

③ 管理コスト・コンプライアンスリスク

特化則の対象物質である限り、換気設備・保護具・健康診断などの管理体制を「継続的に」維持し続けなければなりません。これを怠ると、労働基準監督署からの是正指導や改善命令の対象になることがあります。

この3つのリスクのうち、①の健康リスクが根本にあり、②③はその結果として発生するリスクです。

「代替検討」とは、突き詰めると、この3つのリスクをどこまで許容し続けるかを見直す業務だと言えます。

特化則の対象となる「特定化学物質」とは

そもそも自社の溶剤がリスクの対象かどうかを判断するには、特化則が定める「特定化学物質」の分類を知っておく必要があります。

特化則では、危険性の高い化学物質を以下の3つに分類しています。

1

第一類物質

がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、特に有害性が高く、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質

代表例:ジクロロベンジジン、ベリリウム など
2

第二類物質

がん等の慢性障害を引き起こす物質のうち、第一類物質に該当しないもの。発散抑制対策(換気・密閉等)が義務付けられる

代表例:ベンゼン、クロロホルム、酸化プロピレンなど
3

第三類物質

大量漏えい時に急性中毒等を引き起こすおそれがある物質

代表例:アンモニア など

代表的な物質とその主な健康リスクをまとめると、以下のとおりです。

物質名 主な健康リスク
ベンゼン 白血病などの原因になることがある
クロロホルム 肝臓・腎臓への影響、発がん性
酸化プロピレン 発がん性
ベリリウム 肺の病気

上司から依頼された「代替検討」は、まず自社で使用中の溶剤がこの対象物質リストに該当するかどうかを確認することが最初のステップになります。

対象物質は年々追加されている

特化則の対象物質は、一度決まったら固定されているわけではなく、健康被害の知見が蓄積するたびに追加されてきた歴史があります。

過去の主な追加例は以下のとおりです。

平成20年
3月1日
ホルムアルデヒド、1,3-ブタジエン、硫酸ジエチル
平成21年
4月1日
ニッケル化合物(粉状のもの)、砒素およびその化合物
平成23年
4月1日
酸化プロピレン、1,1-ジメチルヒドラジン、1,4-ジクロロ-2-ブテン、1,3-プロパンスルトン
平成25年
1月1日
インジウム化合物、エチルベンゼン、コバルトおよびその無機化合物
平成25年
10月1日
1,2-ジクロロプロパン
※胆管がん事案を受けて追加
平成26年
11月1日
クロロホルムほか9物質
※有機則の対象物質から特化則対象へ移行
平成27年
11月1日
ナフタレン、リフラクトリーセラミックファイバー
平成29年
1月1日
オルト-トルイジン
平成29年
6月1日
三酸化二アンチモン
令和3年
4月1日
塩基性酸化マンガンおよび溶接ヒューム

このように、これまで規制対象ではなかった物質が、後になって特定化学物質に追加指定されるケースが繰り返し起きています。

つまり「現時点で対象外の溶剤」であっても、将来的に対象物質へ追加される可能性がゼロとは言い切れません

この点も、代替検討を行う際にあわせて意識しておきたいポイントです。

特化則の管理義務は「使い続ける前提」の対策である

対象物質に該当する場合、特化則では会社に対して主に以下の義務が課されます。

ポイントは、これらはすべて「対象物質を使い続けること」を前提にした対策だという点です。

① 換気設備の設置

発生源の近くで蒸気を吸い取る局所排気装置などの設置が必要です。

② 密閉化

密閉容器・密閉配管・密閉タンクなどで、そもそも物質を空気中に出さない対策です。

③ 保護具の備え付けと着用

防毒マスク・保護メガネ・保護手袋などの使用義務(会社・労働者双方)があります。

④ 特殊健康診断の実施と記録の保管

原則6ヶ月以内ごとに1回、対象業務従事者への健康診断を実施します。その記録は原則30年間保管する義務があります。

⑤ 安全な作業方法の徹底

タンク清掃・配管分解など高リスク作業での手順策定・作業主任者の配置などが求められます。

⑥ 作業環境測定と記録の保管

定期的に複雑な手順が必要な現場の空気検査があり、検査結果が悪ければ局所排気装置の強化など、即座に対策を迫られます。その結果は、原則30年間保管する義務があります。

これらの対策は、いわば「危険な溶剤を使い続けるために必要な、継続的なコストと手間」です。

設備投資だけでなく、健康診断の実施や作業手順の管理など、運用フェーズでも継続的な工数がかかり続けます

非該当溶剤へ切り替えることで得られるメリット

ここで発想を変えると、「対象物質を使い続けたまま対策を積み上げる」以外に、「そもそも対象外の溶剤に切り替えることで、対策自体を不要にする」という選択肢があります。

換気設備を整えれば、対象物質を使い続けることは可能です。

しかし、溶剤そのものを非該当品に切り替えてしまえば、その換気設備も、保護具の管理も、定期的な特殊健康診断も、そもそも「不要」になります

これが、代替検討がコスト削減につながる最大のポイントです。

非該当溶剤へ切り替えることで期待できるメリットを整理すると、次のとおりです。

¥
💰 管理コストの削減

換気設備の維持・点検、保護具の購入・管理、定期健康診断の実施といった継続的なコストが不要になります。

🧑‍🔧 現場運用のシンプル化

作業主任者の配置や特別な作業手順の策定が不要になり、現場のオペレーションが簡素化されます。

⚖️ コンプライアンス対応の負担軽減

特化則に基づく管理記録の作成・保管や、労基署対応などの事務負担が軽くなります。

🛡️ 労働者の健康リスクそのものの低減

対策で「リスクを抑える」のではなく、対象物質を使わないことで「リスクの発生源自体をなくす」ことができます。

🔮 将来の追加指定リスクへの備え

対象物質は今後も追加される可能性があるため、非該当の中でもより安全性の高い溶剤を選ぶことで、将来の規制強化への備えにもなります。

つまり、特化則の対策は「使い続けながらリスクを管理する」アプローチであるのに対し、非該当溶剤への切り替えは「リスクの管理自体を必要としない状態をつくる」アプローチだと言えます。

比較表:汎用溶剤と弊社洗浄剤の物性・法規制

各洗浄剤・溶剤の物性値や法規制の違いを一覧にまとめました。

代替の可能性を探る際の参考にしてください。

製品名 eクリーン21
N
eクリーン21
HFE-401
ネクシアX ジクロロメタン
(塩化メチレン)
トリクロロ
エチレン
エチルベンゼン
(キシレンに含有)
引火点 なし なし なし なし なし 22.5℃
消防法 非該当 非該当 非該当 非該当 非該当 該当
有機則 非該当 該当 非該当 非該当 非該当 非該当
特化則 非該当 非該当 非該当 該当 該当 該当
PRTR 該当 該当 非該当 該当 該当 該当
安衛法
リスクアセスメント
該当 該当 非該当 該当 該当 該当
主な用途 金属脱脂・精密洗浄 脱脂洗浄・
フラックス洗浄
脱脂洗浄
管理が容易
強力な金属脱脂・
剥離剤
金属脱脂・
精密洗浄
塗装・金属洗浄の
希釈
製品ページ 詳細・購入 詳細・購入 詳細・購入

まとめ:「対策する」か「代替する」かは天秤にかけて判断できる

本記事では、特化則(特定化学物質障害予防規則)の基本事項から、対象物質を使い続けるリスク、そして具体的な代替検討の考え方までを解説してきました。最後に、今回の重要なポイントを振り返ります。
特化則対象物質の継続使用には、健康・労災・管理コスト(コンプライアンス)の3大リスクが伴う
対象物質は3分類され、換気・密閉・保護具・健康診断・作業手順の5つの厳格な管理義務が発生
これら5つの管理義務はすべて、「使い続ける限り、永遠に続く」継続コストである
非該当溶剤へ切り替えれば、対策・管理コストそのものが不要になり、リスクの発生源自体を排除できる
【注意】対象物質は固定ではなく、法改正によりこれまでも繰り返し追加指定されている(今後の規制強化リスクあり)
「非該当の代替溶剤」をお探しの方へ
現在ご使用中の物質や、洗浄・溶解などの用途によって、推奨される代替洗浄剤・非該当溶剤は異なります。安全性の向上と管理コストの削減を同時に実現する、最適な製品選定については以下のページをご参考ください。
▶ 有機則・特化則に該当しない代替溶剤のラインナップを見る
「代替検討」とは、ただ単に薬品を差し替えるだけの作業ではありません。

現場で対策を積み上げて「有害なリスクを抱えながら使い続けるコスト」と、初期の試験コストを払ってでも「切り替えて将来の対策・管理コスト自体をゼロにするメリット」を天秤にかけ、会社の未来にとってどちらが合理的かを判断する極めて前向きな業務です。

※対象となる汚れや、現場の設備環境によって最適な製品は異なります。本格導入の前に、まずは少量のテストサンプルにて現場での性能試験をおすすめしております。お気軽に代替のご要望をお聞かせください。

社内の安全基準や法規制の見直しで、今の溶剤のままでいいのか見直したい

今の溶剤が特化則に触れていて、リスクを避けるために非該当の代替品を探している

まずはご相談からでも大歓迎です!

カネコ化学では、豊富な専門知識を持ったスタッフがお客様の現場の課題に寄り添い、最適な代替プランをご提案いたします。

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受付時間:平日 9:00〜18:00

本記事がお客様にとって最適な代替品検討の一助となれば幸いです

本日もご覧いただき、誠にありがとうございました!

  • ・製品の一部はリスクアセスメント対象物質を使用しております。
     事業場内の化学物質管理者、保護具着用管理責任者の指導に沿って適切な作業環境の下、保護具を着用してご使用をお願いします。
  • ・ご使用の際は必ず安全データシート(SDS)、取扱説明書をご確認ください。
  • ・廃棄方法につきましては、都道府県知事の許可を受けた廃棄物処理業者にご相談ください。
  • ・本記事に掲載されている情報は、正確性、完全性、信頼性、最新性、特定目的への適合性等について、可能な限り注意を払っておりますが、これらを保証するものではありません。
  • 本記事は2026年7月14日時点での特定化学物質障害予防規則の概要を分かりやすく解説したものです。最新の改正内容は必ず e-Gov法令検索をご確認ください。

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